道東エリアは、豊かな自然に囲まれながらも、働く場所や暮らしの基盤が整っている地域です。「自然豊かな田舎で暮らしたいけれど、仕事や生活とのバランスはどうなの?」そんな疑問に応えるため、道東での働き方・暮らし方・人とのつながり・自然との共生について、公的データと実際の移住者の声を交えながら詳しく紹介します。
道東とは~広大な大地に広がる4つのエリア
道東とは北海道東部に位置し、以下の4つの振興局・総合振興局からなる北海道全体の約4割の面積を占める広大なエリアです。
- オホーツク総合振興局(北見市、網走市、紋別市など)
- 十勝総合振興局(帯広市、音更町、池田町など)
- 釧路総合振興局(釧路市、釧路町、厚岸町など)
- 根室振興局(根室市、中標津町、別海町など)
世界自然遺産の知床、日本最大の釧路湿原、広大な十勝平野など、日本屈指の自然環境を誇る一方で、酪農・農業・漁業などの基幹産業が発達し、安定した雇用機会も確保されています。
仕事:多様な働き方が可能な地域産業基盤
基幹産業の安定した雇用
道東の経済を支える主要産業は以下の通りです。
酪農・畜産業
- 十勝管内・釧路管内・根室管内は日本有数の酪農地帯
- 酪農従事者の月給:20万円~27万円程度(経験者優遇)
- 未経験者向けの研修制度も充実
- 作業は朝夕の搾乳がメインで、日中は休憩時間を確保
畑作農業
- 十勝エリアは小麦、豆類、じゃがいも、てん菜の一大産地
- 大規模機械化により効率的な農業経営を実現
- 正社員農場スタッフの募集も活発
漁業
- 根室・釧路・網走では海産物の豊富な漁場
- 秋鮭、ホタテ、カニ類などの水揚げが盛ん
- 漁協での正社員採用や水産加工業での雇用機会
観光業
- 知床、釧路湿原などの世界的観光地
- ホテル・旅館、ガイド業、飲食業など関連産業も充実
地域を支える職種の充実
基幹産業以外にも多様な職種で求人があります。
- 医療・介護分野:地域医療を支える病院・診療所、介護施設での専門職
- 教育分野:小中高校、保育園・幼稚園での教職
- 公務員:各市町村役場、農協、漁協などの職員
- 建設・土木:インフラ整備、住宅建設など
IT・リモートワークの普及
近年、道東でもデジタル化が進んでいます。
- 釧路ITクラスター推進協会が地域のIT産業振興を推進
- IoTハッカソンなど技術者交流イベントを定期開催
- 光回線の整備により都市部とのリモートワークも可能
- 札幌や東京の企業とオンラインで働く移住者も増加中
実際に、「自然の中での仕事」と「都市とつながる仕事」の両方が可能な環境が整ってきており、従来の第一次産業に加えて新しい働き方の選択肢も広がっています。
生活:安心して暮らせる充実の生活基盤
商業施設・生活インフラ
「田舎暮らしは不便では?」という心配は、道東の主要都市では無用です。
買い物施設
- スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターが各市町村に整備
- 帯広、釧路、北見などの中核都市には大型商業施設も充実
- コンビニエンスストアも主要道路沿いに配置
医療機関
- 各エリアに総合病院を配置(釧路市立病院、帯広厚生病院、北見赤十字病院など)
- 道東の森総合病院(北見市)などの専門性の高い医療機関
- 地域医療を支える診療所・歯科医院も充実
教育機関
- 各市町村に小中学校を配置
- 高等学校も充実
- 北見工業大学、岩谷学園ひがし北海道IT専門学校などの高等教育機関
- 子育て支援センターや学童保育も整備
住環境と光熱費
住宅の断熱性能
- 北海道の厳しい寒さに対応した高気密・高断熱住宅が標準
- セントラルヒーティングによる快適な暖房環境
- 夏は涼しく冬は暖かい、年間を通して快適
光熱費の実情 総務省家計調査(2023年)によると
- 北海道の年間光熱費:約31万円(全国平均:約28万円)
- 冬季(12月~3月)は月額3~4万円程度
- 夏季(6月~8月)は月額1~1.5万円程度
- 都市ガス地域では灯油併用でコスト抑制可能
住宅の断熱性能向上により、以前より暖房効率が大幅に改善されており、「思ったより光熱費がかからない」という声も多く聞かれます。
交通アクセス
道内移動
- 道東自動車道で帯広から札幌まで約3時間、中標津から札幌まで約5時間
- JR根室本線、釧網本線で鉄道移動も可能
- 都市間バスが主要都市を結ぶ
道外アクセス
- たんちょう釧路空港:羽田・関西・新千歳から直行便
- 中標津空港:羽田・新千歳から直行便
- 女満別空港:羽田・関西・中部から直行便
人:温かなコミュニティとの自然な交流
地域コミュニティの特徴
道東の人とのつながりは、都市部とは異なる温かさがあります。
日常的な交流
- 小さな町ほど人との距離が近く、挨拶や助け合いが自然
- 店舗での会話も日常的で、顔見知りが多い
- 困ったときに声をかけやすい雰囲気
地域イベント・活動
- 町内会活動が活発で、住民同士の結束が強い
- 夏祭り、農業祭、漁業祭など地域色豊かなイベント
- ボランティア活動やスポーツサークルも充実
移住者への受け入れ
- 新規移住者も受け入れられやすい土壌
- 地域おこし協力隊制度の活用も可能
- 先輩移住者からのサポートやアドバイス
これらの支援により「孤立せず安心できる」という移住者の声が多く寄せられています。
自然:日常に溶け込む雄大な大自然
四季折々の絶景
道東は季節ごとに異なる美しさを見せてくれます。
春(4月~5月)
- 桜前線とともに訪れる短い春
- 残雪の山々と新緑のコントラスト
- 農作業の始まりとともに活気づく農村風景
夏(6月~8月)
- 平均気温21度の涼しい夏
- 釧路湿原の緑、十勝の青い空と雲
- ラベンダーや向日葵などの花畑
秋(9月~10月)
- 紅葉に染まる知床連山
- 収穫期を迎える豊かな大地
- 澄み切った空気と満天の星空
冬(11月~3月)
- 知床の流氷とオホーツク海
- 白銀に包まれた釧路湿原
- タンチョウやオオワシなど野生動物の観察
身近なアウトドア活動
都市部では体験できないアクティビティが日常的に楽しめます。
水辺のアクティビティ
- 釧路川でのカヌー・カヤック
- 海や湖での釣り
- 知床での観光船クルーズ
山・森林のアクティビティ
- ハイキング・トレッキング
- 野生動物の観察
- 山菜採り・きのこ狩り
冬のアクティビティ
- スキー・スノーボード
- ワカサギ釣り
- 流氷ウォーキング
自然災害リスクと対策
主なリスク
- 冬季の大雪・吹雪
- 地震・津波(太平洋沿岸)
- 夏季の台風
地域の備え
- 除雪体制の充実
- 津波避難場所の確保
- 地域住民による相互支援体制
- 長年の経験に基づく生活の知恵
地域住民は自然災害に対する知識と準備が豊富で、移住者にも適切なアドバイスを提供してくれます。
移住者の実体験~リアルな声
30代夫婦(東京→十勝帯広市)
「都会より人との距離が近く、仕事も暮らしも安心できました。夫は地元の農協に転職、妻はリモートワークで東京の会社を継続。子育て環境も良く、保育園の待機児童もありません。冬の光熱費は確かに高いですが、家の断熱性が良いので思ったより快適です。」
20代単身男性(大阪→釧路市)
「自然に癒されながら働けるのは道東ならでは。漁業関連の会社に就職しましたが、同僚も移住者に理解があり、すぐに地域に馴染めました。休日は釧路湿原でカヌーを楽しんだり、知床まで足を延ばしたり。都市部では絶対に体験できない豊かさがあります。」
40代家族(愛知→網走市)
「不便さよりも『人と自然に恵まれている』魅力を強く感じます。子どもたちは毎日外で遊び、夏は海水浴、冬はスキー。食材も新鮮で安く、家計にも優しい。地域のイベントも多く、家族で参加することで自然と地域に溶け込めました。移住して本当に良かったと思っています。」
まとめ:バランスの取れた豊かな暮らし
道東での暮らしは、仕事・生活・人・自然がバランスよく成り立っています。
仕事面では、伝統的な第一次産業に加えて、IT・リモートワークなど新しい働き方も選択可能。医療・介護・教育分野でも安定した雇用があります。
生活面では、必要な商業施設や医療機関、教育機関が整備され、不便さを感じることは少ないでしょう。光熱費は冬季に高くなりますが、住宅の高性能化により快適性は大幅に向上しています。
人とのつながりでは、都会では得られない「人の温かさ」があり、移住者も自然に地域コミュニティに受け入れられます。
自然環境では、四季折々の絶景と多彩なアウトドア活動により、「自然を楽しみながら暮らす」ライフスタイルが実現できます。
移住を検討される方へ
道東は確実に「仕事・生活・人・自然」のバランスが取れた魅力的な地域です。ただし、冬の厳しさや地域特有の生活様式もあります。
移住を考える際には:
- 短期移住体験住宅の利用
- 地域のイベント参加
- 現地での仕事探し
- 先輩移住者との交流
これらを通じて、実際の生活を体験してから決断することをお勧めします。道東の大自然と温かな人々が、きっと皆さんを待っています。



