移住を考える上で、最も大きな関心ごとのひとつが「住まい」です。道東エリアでは都市部に比べて家賃が安く、広い物件を借りられる魅力がありますが、その一方で「空き家をどう活用する?」「雪対策は?」など独自の課題もあります。
本記事では、2025年最新の公的データに基づき、道東での住まい事情をわかりやすく紹介し、賃貸や戸建ての特徴、移住者向けの住宅支援制度についてまとめます。
賃貸住宅のリアル〜最新家賃相場データ
道東の家賃相場(2025年調査)
2023年7月時点で、帯広市の家賃相場は4万5,435円と、札幌市よりも1万円ほど安くなっています。道東全体で見ると、さらに具体的な相場は以下の通りです:
主要都市別家賃相場
- 釧路市:2LDK 5万円〜6万2,000円
- 帯広市:2LDK 5万5,000円〜7万5,000円
- 北見市:2LDK 5万円〜7万5,000円
- 根室市:2LDK 4万1,000円〜6万円
- 中標津町:2LDK 5万円〜6万5,000円
都市部との比較
- 札幌市:2LDK平均 6万〜10万円(道東より30〜40%高)
- 東京都心部:2LDK平均 12万〜18万円(道東の約3〜4倍)
道東賃貸物件の特徴
- 駐車場込み:駐車場代は月5,000円〜8,000円が相場(物件によっては無料)
- 広い間取り:同じ家賃でも都市部より20〜30㎡広い物件が多い
- 庭付き・物置付き:一戸建て賃貸では庭や物置が標準装備
- ペット可物件:都市部より条件が緩い物件が多数
冬場の光熱費について
道東では冬の暖房代が重要な要素となります:
- ガス暖房(FF式ストーブ):月15,000円〜25,000円
- 灯油暖房:月12,000円〜20,000円
- 電気暖房(ヒートポンプ):月10,000円〜18,000円
- 断熱性能の高い物件:上記より20〜30%節約可能
※重要:賃貸選びでは断熱性能や暖房設備を必ず確認しましょう。二重サッシ、断熱材入りの物件を選ぶことで、年間の光熱費を大幅に削減できます。
戸建て・空き家の活用〜購入のチャンス
道東の住宅購入相場
道東では全国的にも珍しく、数百万円で一戸建てが購入できる地域があります:
中古住宅価格帯
- 築20年未満:800万円〜1,500万円
- 築20〜30年:400万円〜800万円
- 築30年以上・要リフォーム:100万円〜400万円
- 空き家(状態良好):50万円〜300万円
※注意:道東の中古住宅は立地や建物状態による価格差が非常に大きく、上記はあくまで目安です。築20年で約57%、築30年で約44%の残存価値となる傾向がありますが、個別物件の詳細な査定が必要です。
冬を乗り切る住宅設備〜寒冷地対応の必須知識
断熱性能チェックポイント
道東の厳しい冬(-20℃以下になることも)を快適に過ごすための設備確認項目:
必須設備
- 二重サッシ(ペアガラス):結露防止と断熱効果
- 玄関風除室:冷気の侵入を防ぐ
- 断熱材:壁・天井・床下の断熱材確認
- 24時間換気システム:結露・カビ対策
暖房システムの選択
- FF式石油ストーブ:燃焼効率が良く、コスト安
- 床暖房:足元から温まり、快適性が高い
- ヒートポンプエアコン:電気代は高めだが操作が簡単
- 薪ストーブ:燃料調達の手間はあるが、暖房費を大幅削減
雪対策・車庫の重要性
釧路市は冬でも晴天の日が多く、雪が少ないので過ごしやすい地域もありますが、全体的に雪対策は必要です:
- 車庫・カーポート:雪下ろし、除雪の手間を軽減
- 除雪しやすい駐車場配置:道路からのアクセス良好な立地
- 屋根の雪下ろし対応:安全な作業スペースの確保
- 融雪設備:玄関前や駐車場の融雪装置
移住者向けの住宅支援制度〜2025年最新情報
道東各地では、移住者の住宅確保を支援するため、直接的な住宅支援制度と就業支援金を組み合わせた包括的なサポート体制が整備されています。
UIJターン新規就業支援事業(移住支援金)
全道共通制度として、住宅確保資金に活用可能
- 単身移住者:60万円
- 世帯移住者:100万円
- 18歳未満帯同:1人につき30万円追加(自治体により最大100万円
対象自治体
:釧路市、帯広市、根室市ほか道東各地
※注意
:令和6年12月以降、北海道予算上限により一時停止中の場合があります
道東住まい選びの成功のコツ
情報収集の方法
- 各自治体の移住相談窓口で最新の支援制度情報を確認
- 北海道空き家情報バンクで物件の詳細をチェック
- 地元不動産会社で市場に出ていない優良物件情報を入手
- 移住体験住宅で実際の住み心地を確認
現地見学のチェックポイント
夏季見学時の注意点
- 冬期の除雪状況、暖房設備を不動産業者に詳しく確認
- 近隣の除雪体制(市道・町道の除雪頻度)を調査
- 冬季の買い物アクセス、医療機関へのアクセスを確認
冬季見学時の注意点
- 実際の暖房費、除雪の手間を体験
- 道路状況、車でのアクセス難易度を確認
- 日照時間の短さ、雪の重みによる建物への影響をチェック
段階的移住のステップ
- 情報収集・相談(3〜6ヶ月)
- 移住体験・現地見学(1〜3ヶ月滞在)
- 仮住まい・お試し移住(6ヶ月〜1年)
- 本格移住・住宅確定(永住用住宅の取得)
住まいに関する注意点とデメリット
冬季の課題
- 除雪作業:自宅周りの除雪は基本的に自己責任。賃貸の場合は除雪が入ることもあります。
- 暖房費:年間10万円〜20万円の暖房費が必要。※暖房設備により異なります。
- 車の冬装備:スタッドレスタイヤ、カーポートが必須
インフラ・生活面の注意点
- インターネット環境:光回線が未整備の地域もあり
- 公共交通機関:車がないと生活が困難
- 医療機関:専門医療は札幌まで通院が必要な場合も
- 商業施設:大型ショッピングセンターまで距離がある地域も
住宅維持の負担
- 雪害対応:屋根の雪下ろし、雨樋の凍結対策
- 建物メンテナンス:寒暖差による建物への負荷が大きい
- 設備交換:暖房機器の定期的な交換・メンテナンス
まとめ:道東で理想の住まいを見つけるために
道東の住まいは「安くて広い」が最大の魅力であることが、最新のデータからも明確になっています。帯広市の家賃相場が札幌市より1万円ほど安いことに象徴されるように、生活費を大幅に削減しながら、ゆとりある住環境を手に入れることができます。 さらに、各自治体の手厚い住宅支援制度を上手に活用することで、移住後の生活をより安定的にスタートできます。 重要なのは、夏と冬の両方の季節を体験し、実際の生活コストや住み心地を確認すること。移住体験住宅や短期滞在制度を積極的に活用し、理想と現実のギャップを最小限に抑えた移住計画を立てることが成功の鍵となります。 道東での新しい生活に向けて、まずは気になる地域の移住相談窓口に相談してみることから始めてみませんか。
※ 本記事の家賃相場・支援制度情報は2025年7月時点のものです。支援制度は年度ごとに変更される可能性が高いため、最新の詳細情報は必ず各自治体の移住相談窓口または公式サイトでご確認ください。
※ 記載された支援制度の金額や条件は、予算の都合により変更・停止される場合があります。実際の申請前に必ず最新情報をご確認ください。



